制作サイドの意図が裏目に出た

 今回の一連の騒動に関して、フジテレビは以下のようなコメントを発表しています*2。一部を抜粋させていただきます。

「この動画は今年7月にめざましmediaが公開したもので、内容は上垣アナが初めて生放送でお天気キャスターを務めた際の映像です。
上垣アナの奮闘ぶりを伝えたいという事で、OAされていないCM中のやりとりを制作側の判断で編集し公開しました。

この動画を公開した当時から多くの方に視聴して頂いておりますが、公開から3ヶ月が経ち、厳しいご意見など様々なご指摘を頂くようになりました。

私たちは今回寄せられたご指摘を真摯に受け止め、今後はより一層コンテンツ制作に留意してまいります」

*2めざましmedia、めざましどようびをご覧の皆様へ

 公開から3カ月以上がたち、制作側の意図とは真逆の形で炎上してしまった事態に戸惑いは隠せないようです。完全に裏目に出てしまい、火消しに必死でしょう。

 この炎上を受けて、ネットの民たちは同じような状況で「上垣アナの新人らしからぬ落ち着いたたたずまい」に関して明石家さんまさんら芸人たちが突っ込む動画も投稿しています。例えば、上垣アナのその堂々とした物腰に関して、「兵庫の知事の風格」や「天才入ってきましたよ」といった言葉で笑いを取っていたのです。

 一部では、「ほめワード」を使って笑いをとる芸人たちの「いじり」を評価する声もあるようです。しかし、何をもって「ほめワード」と感じるか、いずれにせよ大勢の中で「笑いのネタ」にされるシチュエーションがどう受け止められるかは、視聴者の感性によってさまざまでしょう。

「いじり」と「いじめ」の間には、わずか一字しか違いませんが、「妊娠3カ月」と「謹慎3カ月」、「月経」と「日経」などと同じく大きな差があります。でも、その境界線はあいまいで当事者や見る者によって異なります。テレビの中だけではなく、普通の職場や学校など、至る所で「いじり」と「いじめ」の境界はしばしば問題になっています。

 最近では、「パワハラ」「セクハラ」といったハラスメントに対する意識が高まっていることもあり、そのあいまいな境界線に戸惑う人も多いでしょう。今回の上垣アナをめぐる炎上も、時代の流れと言いますか、同じ文脈にあると思われます。

 そんなことを考えていたら、ふと、前座時代に師匠の談志に言われたひとことが浮かんできました。