7.クルスク奪還に約1万2000人の北朝鮮兵
10月15日のキエフ・インディペンデント紙は、ウクライナ軍事情報局(HUR)が北朝鮮が派遣する兵士の数について、北朝鮮が将軍3人と将校500人を含む約1万2000人の兵士をロシアに派遣したと述べたと報じている。
彼らは、ロシア東部のエカテリノスラフカ、クニャゼ・ヴォルコンスコエ、セルゲエフカ、ウスリースク、ウラン・ウデにある5つの軍事訓練場で訓練を受けていると伝えている。
1万2000人という数字は、4000人規模の旅団が3つである。
将軍3人とは3個の旅団長で、将校500人とは30人を束ねる小隊長と中隊・大隊の指揮官と幕僚の数に匹敵する。
北朝鮮の3個旅団という人数には、妥当性がある。
1万2000人とは、クルスク奪還のための人数であり、ハルキウ、東部と南部戦線の介入のためではないと考えてよい。
今、ロシアはクルスク正面で2個の空挺旅団と2個の海兵旅団の合計4個旅団が攻撃している。
ロシア4個旅団に北朝鮮の3個旅団が加われば、そして、齟齬がなく戦うことができれば、クルスク奪還の戦力となるだろう。
8.北朝鮮兵の今後のクルスクでの戦闘
ウクライナのゼレンスキー大統領は10月26日夜、北朝鮮軍が今後数日中にロシア軍と共に前線で戦う可能性があると警告した。
もう戦闘に介入しているかもしれない。
派遣されている北朝鮮兵は、クルスクで戦っている4個旅団に組み込まれて、小隊・中隊単位で、小さな担任地域を割り当てられて戦うことになろう。
派遣兵を運用するロシア軍の大隊長、旅団長からすれば、北朝鮮兵の損害等を顧みることなく、果敢に突撃させられる。
そして、戦果を挙げることに努力するだろう。そのため、クルスク奪還の可能性も高くなる。
一方で、米国のカービー国家安全保障会議戦略広報調整官は、ウクライナと戦うために派遣された北朝鮮軍は「格好の標的」だと述べた。
私も、同じことを予想している。
北朝鮮兵は、特に特殊部隊に所属する兵は、体力があり精鋭で勇猛果敢である。
だが、彼らが保有する兵器やこれまでの演習の映像を見る限りでは、近代戦を戦う戦術もノウハウも欠如している。
北朝鮮兵が勇猛果敢にウクライナ軍に突入すれば、砲弾や無人機の餌食になる。
北朝鮮兵を使った、バフムトと同じ肉びき攻撃(肉弾戦)が繰り返されることになるだろう。
韓国国家情報院によると、北朝鮮派兵の対価は1人あたり、たったの2000ドル(約30万)だという。
労働者の派遣ではない、肉弾戦に投入されるのだ。金正恩総書記は、金体制を守ってくれる兵の命をたった30万円で、ロシアに売ったのだ。