6.北朝鮮軍戦力の先遣隊
北朝鮮兵の派遣については、先遣隊と主力に分けられているようだ。先遣隊の動きは、次のとおりである。
どこの国の軍隊でも、軍部隊が投入される場合には、事前の情報収集とこれまで戦闘している部隊との調整が必要である。
それは、国内で戦っている同じ軍であっても実施する。今回の場合、ロシアの地で北朝鮮が投入されるのであれば、特に必要なことである。
北朝鮮兵の先遣隊派遣の情報がある。具体的には次の通りだ。
ウクライナ国防省情報総局長のキリーロ・ブダノフ氏によれば、10月初め、北朝鮮の最初のグループは2600人で構成されるとした。
韓国の国家情報院は10月18日、北朝鮮がロシア軍を支援するために派兵を決定し、約1500人がロシア極東で訓練していると発表している。
また、米国のカービー国家安全保障会議戦略広報調整官によれば、10月23日、少なくとも3000人の北朝鮮兵をロシア東部に移動させたという。
つまり、先遣隊は約3000人で、各旅団から派遣された3個大隊規模の部隊と考えられる。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、最初の部隊は10月27〜28日に戦闘地域に配備される予定があるとの見方を示した。
10月27日の情報では、「クルスクに向かう高速道路で北朝鮮兵が乗車している民間のトラックが停車させられている」という無線通信が傍受されている。
NATO(北大西洋条約機構)のマルク・ルッテ事務総長は10月28日、北朝鮮兵がクルスクに展開していると伝えている。北朝鮮兵は、事前の計画通りにクルスクの戦場に到着していることになる。
戦闘に介入する場合、逐次介入と統一介入がある。
戦理としては、できるならば投入する部隊が各個に撃破されないために、全力での統一介入が望ましい。
だが、北朝鮮兵は、船と鉄道で移動すれば約8500キロも離れている見知らぬロシアで戦うのである。
クルスクで実際に戦闘している各旅団との調整もある。やはり、一部を必要な地域から、逐次投入という要領で作戦していくのが妥当である。