新NISAデビューの若年層は長期安定株主として期待
市場改革で上場企業に資本効率の向上が求められる中、企業間での株式の持ち合い解消が進み、その影響で新規の株主獲得を急務とする企業も出てきたからだ。
さらには、切羽詰まった事情を抱える企業もある。
2年半前の新市場への移行時には、プライム市場の上場基準を満たさず「経過措置」として同市場での上場を維持した企業が295社あった。10月15日に東京証券取引所が公表したその後の動向によると、うち67社は9月末時点でも依然として経過措置の適用を受けていた。
その67社中51社は「流通株式時価総額」の未達によるもので、基準クリアの目標時期を2025~2027年に設定している。なお、経過措置は2025年3月以降、順次終了していく予定だ。
折しも、年初からの新しいNISA(少額投資非課税制度)の活況で、株式市場では個人投資家が存在感を増している。新規株主や時価総額の増加を目指す企業が「個人株主獲得」に向けて株主優待を拡充するのは自然な流れと言えるだろう。
とりわけ新NISAで投資デビューした若年層には、長期安定株主になってもらいたいという思惑も働く。
その結果、今年に入って新たに株主優待を導入したり、優待内容を手厚くしたりする動きが相次いでいる。
一例が、初めて優待を導入したソフトバンクだ。