東証改革で株主優待廃止の流れもあったが…

 株主優待を提供する企業は、単元株(100株)以上の株主を対象としているところが多いが、東京メトロは2単元(200株)以上が条件だ。まずは、これが「せこい」という。

 日本マクドナルドホールディングス、オリエンタルランドなど30以上の優待銘柄に投資する40代の女性の感想は、「ひと言で言えば、しょぼい」だった。

「関連施設と言ってもよく知らないところばかりで、『誰が使うの?』という感じ。東京メトロファンや営業圏外の株主に配慮したグッズなどを入れてほしかった」

“乗り鉄”で首都圏の鉄道関連銘柄を網羅する50代の男性も「鉄道会社あるあるというか、こんなものでしょ。東京メトロだし」と冷ややかだ。

 優待族が相対的に東京メトロの優待内容に辛口なのは、別の理由もあるように思う。

 以前の記事(「ビットコイン付与など株主優待に変化、個人の投資戦略にどんな影響があるか」)で、2022年4月の東京証券取引所の市場再編を機に上場企業の優待制度のあり方が変わってきたと指摘した。

 海外を中心とする機関投資家には、優待で自社製品や食料品などを受け取るメリットがあまりない。そこで上場企業の間では、投資家全体に配慮し、「株主への公平な利益還元」の観点から優待を廃止して増配や自社株買いによる還元へと株主施策を転換する流れが生じていた。

 しかし、そう単純には進まなかった。