石川県に聞くと、「国の評価待ちだった」と言う。政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が、最新の研究成果をもとに、活断層のリスクを評価してまとめるのを待っていたというのだ。

 しかし、その説明では腑に落ちない。

隣県が想定済みの活断層を19年放置

 石川県は、19年前に地震本部が評価を終えて公表していた能登半島の別の活断層についても被害想定に取り入れていなかったからだ。

 それは「邑知潟断層帯」と呼ばれる活断層(地図2)で、地震本部は、2005年に長さ44kmで、M7.6程度の地震が発生すると発表していた*4

*4 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 「邑知潟断層帯の長期評価について」(平成17年3月9日

【地図2】邑知潟断層帯の位置(地震本部の地図に筆者が加筆)
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 石川県は、1997年にこの断層帯でM7.0の地震が発生するとして被害想定していた。2005年に地震本部がもっと大きな地震になると予測したのに、1997年の被害想定を見直さず、ほったらかしだった。

 お隣の富山県は、この邑知潟断層帯について、国の評価を2017年に取り入れていた。同じ活断層を、石川県はM7.0、富山県はM7.6の地震を起こすとして備えていたのである。石川県の予測は、地震の規模としては8分の1の過小評価だ。

 石川県議会では何度も地震想定の古さが問題になっていた。

「県内の主な活断層である邑知潟断層などの再評価をして必要な対応を」(2016年4月28日)

「県内に分布する邑知潟断層帯や森本・富樫断層帯で起こりうる地震の被害想定については、今でもおよそ20年前のデータを使って、その後、能登の地震、そして東日本大震災が発生しても見直しをされていない。県の地域防災計画についても20年前のデータをもとに策定されている」(2018年2月13日)

「今後検討していきたい」(県危機管理監、2016年4月)と県は返答していたが、実際に見直しに着手したのは2023年で、間に合わなかった。

今年1月1日の地震発生直後、石川県輪島市の輪島中学校の様子。人的被害はもちろん、住宅や建物、インフラに大きな被害が出た(写真:共同通信社)
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