一方で、プーチン大統領にも、習近平主席に対して不満がある。それはアメリカからの「二次制裁」を恐れる中国の大手銀行が、中ロ貿易に関わることに及び腰なことだ。そのため、中国海関(税関)総署の統計によれば、今年1月から9月までの中ロ貿易は、ドル換算で2.0%しか伸びていない(中→ロ2.4%増、ロ→中1.7%増)。

10月22日、習近平主席との首脳会談の際のプーチン大統領の表情(提供:Stanislav Krasilnikov/BRICS-RUSSIA2024.RU Host Photo Agency/ロイター/アフロ)
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 これは、昨年の両国の貿易額が前年比26.3%(中→ロ46.9%増、ロ→中12.7%増)も伸びたことを鑑みれば、「停滞」と呼んでもいい。ロシアにしてみれば、米欧から強烈な経済制裁を受けている手前、中国との貿易がいわば「生命線」だ。それなのに、中国の態度は何事かというわけだ。

モディ首相に対する両首脳の態度の差

 プーチン大統領は、続いて行ったインドのナレンドラ・モディ首相との会談では、「私たちは通訳を必要としないほど心が通じ合っている」と述べ、一転して満面の笑顔になった。

10月22日、インドのモディ首相とハグするプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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 習近平主席も、翌23日にモディ首相と会談した。何と5年ぶりの「2ショット」だった。2020年に中印国境地域で両軍が衝突して以降、両首脳はプイと横を向いてしまった。ニューデリーでモディ首相が議長役を務めた昨年9月のG20(主要国・地域)サミットも、習主席はドタキャンした。

 今回、ようやく「再会」を果たしたが、両首脳の間に寛いだ笑顔はなかった。中国側の報道によれば、習主席が述べたのは、両国は古代の文明国同士だとか、14億の人口大国同士だとか、だから協力とパートナー関係がふさわしいとかいったことだ。モディ首相も賛同したという。まるで「握手することが目的」の会談だったかのようだ。

ロシア・カザンで開かれたBRICS首脳会議で握手する習近平主席とモディ首相。どことなくぎこちなさが漂う(写真:ロイター/アフロ)
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 両国は、10月21日に双方が国境地帯の係争地域から撤退することで合意。25日にインドのPTI通信は、実際に両軍の撤退が始まったと報じた。