南海トラフ地震の発生メカニズム
日本列島は4枚のプレートが集まった位置にあり、それが日本を世界有数の地震多発国にしています。南海トラフは、そのうちフィリピン海プレート(海洋プレート)とユーラシアプレート(大陸プレート)の境界がつくる溝で、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んでいる場所です。ただし、南海トラフの東端部分で駿河湾内に位置する沈み込み帯部分をとくに駿河トラフと呼びます。
伊豆半島をはさんで駿河湾の反対側には、相模湾から東に伸びる相模トラフがあります。相模トラフはフィリピン海プレートが北米プレート(大陸プレート)の下に沈み込み、さらにフィリピン海プレートの下に太平洋プレートが沈み込むという複雑な構造をしています。1923年の関東大震災は、この相模トラフ沿いを震源とするM7.9の大正関東地震によって引き起こされました。また、2011年の東日本大震災は、日本海溝沿いで発生したM9.0の東北地方太平洋沖地震によるものです。
トラフや海溝で巨大地震が発生するのは、2つのプレートがぶつかり合う沈み込み帯だからです。南海トラフ(図1・右図参照)の場合はフィリピン海プレートが沈み込むとき、ユーラシアプレートの端を強い力で一緒に引きずり込みます。そのため、とくに陸側のユーラシアプレートに徐々にひずみがたまっていきます。
「ひずみ」とは力による岩盤の変形のことです。そして、ひずみが限界に達すると、プレート境界面の岩盤が破壊され、ユーラシアプレートが跳ね上がり、境界面がずれて地震が発生します。ずれたところが断層面になり、跳ね上がりで海底地形が急激に変化することで津波が生じるのです。
(編集協力:春燈社 小西眞由美)