巨大地震を起こすトラフと海溝
次にくるとされる巨大地震、南海トラフ地震の「南海トラフ」とは何ものなのでしょうか。トラフ(trough)とは、英語で「凹んだお盆」や「窪み」を意味する言葉で、地形学的には海底にできた細長い「溝」をいいます。日本語では「舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)」と表現されます。
トラフは、地球の表面をおおうプレートと呼ばれる厚さ数十kmの巨大な岩盤どうしの境界に形成されます。地球は十数枚のプレートでおおわれていると考えられており、それぞれのプレートは相対的に年に数cm程度動いています。
プレートには海洋プレートと大陸プレートがあり、海洋プレートのほうが重いため、両者の境界では海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいきます。このような場所を「沈み込み帯」といい、トラフは沈み込み帯なのです。
なお、トラフと同じ沈み込み帯地形に「海溝」があります。海溝とトラフの違いは、水深がおよそ6000m以上の深い溝を海溝と呼び、それより水深が浅い溝をトラフと呼んでいます。南海トラフが水深約4000mであるのに対して、日本海溝の深さは約8000mです(トラフには異なる成因のものもありますが、ここでは省略します)。