修道院の焼き立てパン

日本に強い関心示す明るい子供たち

 2人は、修道院の避難生活については、良い待遇で迎え入れてもらっている、と感謝の言葉を口にする。

 家族別に個室が与えられ、食事も充実している。修道院には聖職者が栽培した野菜があるし、小麦などの食材は行政から届けられる。

 通常の修道院の食事では肉は出ないが、避難者のために特別に肉を取り寄せている。

 避難者用の食堂を見学させてもらった。

 食器もテーブルクロスも可愛らしく、厨房からは何かを焼く良い香りがする。私も焼き立てパンとドライフルーツのジュースをごちそうになった。とても美味しかった。

 プライベートが確保され、毎日こんなに美味しいものが食べられるなら、戦闘に巻き込まれて混乱した気持ちも少しは落ち着くかもしれない、と思った。

 修道院には、やはり前線に近い村、コレネヴォから避難してきた子供たちが数多くいた。

 彼らは、修道院に集まった寄付金で購入したタブレット端末を使って、オンライン授業を受けている。

 8歳と11歳の女の子が、本物の日本人を初めて見た、日本人の目はかっこいいと言って、ハグしてくれた。

 男の子は最初もじもじしていたが、次第に打ち解けてくれ、日本のことについて質問攻めにされた。

 時間の許す限りおしゃべりをし、別れの時には、おもちゃをくれた。

 避難生活を送る中で、限りあるおもちゃなのに、申し訳ない気持ちになったが、「どうしても持って帰って!」と言うので、子供たちの気持ちをありがたく受け取ることにした。

 今そのおもちゃは、私の自宅に飾ってある。(後編に続く)

修道院にはたくさんの猫が住んでいる