意外にも活気あふれた街がそこにあった
無事に許可証を手に入れ、市バスで中心部に向かった。バスの中は若者で混雑しており、留学生と思しき外国人もいる。
乗客の半分以上がクルスク大学の近くで下車したので、私も降りた。
たくさんの人が行き交い、町は意外にも活気に満ちあふれている。立ち寄った食堂では気持ちの良い接客をしてもらった。
またサイレンが鳴り始めた。今度はかなりの大音量でビクッとしたが、地元の人々は微動だにしない。
広場のベンチに座ったまま、スマホを触ったり、友達とおしゃべりしたりしている。
バス停の真横には、最近設置されたコンクリート製の避難ボックスがあるのだが、そちらへ移動することもなく、バス停のベンチに座り続けている。
サイレンが鳴っても何も起こらない、ということに慣れてしまったのかもしれない。しばらくすると、サイレンはやんだ。これを1日に何度も繰り返しているのだ。
まずは、国境からの避難者が滞在している、カレンナヤ・プスティーニという修道院へ向かうことにした。
乗り合いの小型バスに1時間ほど揺られて下車すると、綺麗なブルーの建物が見えてきた。
5リットルのペットボトルを両手に持った家族連れとすれ違った。聞けば、修道院の敷地内にある聖水を汲みに来たという。
彼らはリゴフという、前線に近い町から来ていた。一家は、一度は避難したものの、自宅に帰ることを決めたと言う。
父親は、「もう逃げることはしない。何かあれば町を守る」と話した。