給水が足りなかったのも原因か

 東海大は2週間前から天気予報をチェックして、暑さ対策もしっかり練ってきたという。

「もちろん暑さ対策はいろいろやってきましたよ。水分は数日前から積極的に補給していましたし、選手にはキャップを着用させて、スタート直前まで氷を当てていました。それに体の内部を効率よく冷やす細かい氷の粒子が含まれたスポーツドリンクも摂取しました。できることはやったんですけど、給水が欲しくてもテーブルに水がなかったという選手が結構いたんです」

 給水地点は8km、13.5km、17kmに設けられていたが、13.5km地点は大混雑になったようだ。10kmは30分台で170人以上が通過しており、混雑時の給水所は1分間で約150人もの選手が通過したと考えられる。今回はほぼ全員が給水に手を出すような状況だったため、給水の補充が間に合わなかった部分があったようだ。

「しばらく医療テントにいたんですけど、うちの10番目となった越も熱中症でやって来ましたし、次々と選手が運ばれてきたんです。選手たちはチームのために命を削ってまで頑張ってくれました。暑さへの対策は難しいと思うんですけど、『欲しい給水が取れなかった』ということになってしまうと、今後は考えていかないといけません」

 東海大の10番目となった越陽汰(4年)のタイムは1時間12分29秒。設定タイム(1時間04分45秒前後)より大きく遅れた。5kmを15分11秒で通過した後はペースダウンして、10~20kmは36分41秒を要している。越の実力を考えると、異変があったのは明らかだ。

「タラ・レバはないんですけど、主力を5人欠いた状況で、あのままいけば8番通過が見えていました」と両角監督は選手たちの頑張りに感謝した。

 11月3日には全日本大学駅伝が控えているが、「箱根予選会のリベンジや、シード権獲得(8位以内)は考えすぎてもいけない状況なのかなと思っています。今回は主力を欠いたなかで『頑張るぞ』という気持ちが、このような結果になってしまった部分もあるので、まずはゴールまでしっかりタスキをつなぎたいと思っています」と指揮官は冷静だった。

 来年正月の晴れ舞台に立つことはできないが、花岡寿哉、兵藤ジュダら3年生以下に好選手が揃っている。来季に向けては、「具体的な目標はまだ考えていませんが、ずっと(学生駅伝の)順位を下げてきていますので、矢印が上を向くようにしたいと思います」と第95回大会で母校を箱根駅伝の初優勝に導いた名将は再浮上を誓っていた。