カスタマージャーニーを部門横断で理解、共有

 顧客のニーズは大きく変化しており、営業プロセス管理は時代と合致しなくなっている。自社中心で考えるため顧客視点は弱くなり、売ったらおしまいになりやすく、購入後の議論が乏しくなりやすい。更に、組織内の部門を越えた知見の共有がされにくく、営業担当者のやりがいをも喪失させてしまいやすい。

 それに代わるものとして、カスタマージャーニーを提案したい。カスタマージャーニーの構築は簡単ではない。これまでの自社中心の思考・自社視点を改め、顧客側の視点に立たなければならないからだ。自社視点と顧客視点では、見える景色が全く異なる。

 顧客は何をきっかけにどのような関心を抱き、どのように情報収集し、意思決定をしていくのか? 使用体験を通じて、どのような理想の状態を実現したいのか? 実際に、実現できているのか? それらを理解し、どのような顧客体験を実現したいかを部門横断で議論し、共通した考え方を作り上げる。

 リコージャパンは、顧客起点でカスタマージャーニーを考え、デジタルとアナログを融合させた施策で需要創造に成功している。

 企業側には、営業プロセス管理に依存する手法からの脱却が求められる。これまでの管理手法で顧客に出来上がった商品やサービスを販売するのではなく、顧客とともに価値を創造していく。そのストーリーは顧客を主語にしたものであり、共に価値創造するものとして、提供者は伴走すべきなのだ。

売上目標を捨てよう』(青嶋 稔、インターナショナル新書)