ぬかるんだ道でも余裕の安定感、重量増でも「動的質感」向上

 前日の雨によりコースはぬかるんだところもあり、とても滑りやすい路面状況だったが、ハンドル・ブレーキ・アクセル操作に対して、クルマ全体が「手の内にある」という印象だ。

ストロングハイブリッドのシステム展示(写真:筆者撮影)

 ストロングハイブリッド搭載モデルは、マイルドハイブリッド搭載モデルと比べて車重は50kg増えている。50kgと聞くと、大人ひとり分程度と思うかもしれないが、クルマにおける50kg増は運動特性、ハンドリング、そして乗り心地に対する影響は少なくない。

 特に、スバルの真骨頂である低重心とクルマ全体のバランス良さを可能としている、水平対向エンジンとシンメトリカルAWDの性能をフルに発揮するためには、重量増がネガティブ要因にならないような工夫が必要である。

ストロングハイブリッドの車内(写真:筆者撮影)

 具体的には、リアのショックアブソーバーの仕様を変更、サスペンション各所のブッシュ(ゴム)の最適化などを行った。

 開発担当者との意見交換によると、「重量増に対する課題解決には全力で取り組んだ。その結果として、クルマの動き全体の質感が上がった」ということのようだ。

 これをスバル社内では「動的質感」と呼ぶ。

 動的質感は、データによる解析だけでは実現しないと、スバルは考えている。

 データ解析を十分に踏まえた上で、設計・製造・実験など新車開発に直接関わる部署の「人と人とのつながり」によって、動的質感を生み出すことが乗用四駆のスペシャリストであるスバルの持ち味だと言えるだろう。

 具体的な技術要因について補足すると、ストロングハイブリッドでは、トランスアクスルと呼ばれるハイブリッドシステムに関わる各種部品や機能を新たに設計している。

 搭載している位置は、排気量2.5L・水平対向4気筒エンジンと、後輪に動力を伝えるプロベラシャフトの間だ。

 ここに駆動用と発電用の2つのモーターと、フロントデファレンシャルギア、電子制御カップリングをパッケージ化した。
 
 報道陣向け試乗会では最後に、広い駐車場を利用して、停止状態からアクセルを強く踏む加速とかなり強めのブレーキングで、ストロングハイブリッドとストロングハイブリッドを比較した。

 すると、確かに出足も、まさにストロングとマイルドという差を実感した。

 富士山麓での試乗会の後、都内のスバル本社でクロストレックのマイルドハイブリッドを借りて、高速道路や一般路など合計約500km走行してみた。