パレスチナ問題:両者ともイスラエル寄り、解決の道筋描けず
パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘に関しては、両候補の主張に大きな違いはありません。両氏ともイスラエル寄りの姿勢を取っているためです。イスラエル・ユダヤ系国民が米国の政治、経済に強い影響力を持っていることが背景にあります。
大統領在任中に在イスラエル米大使館をテルアビブからエルサレムに移し、パレスチナ側の反発を受けたトランプ氏は、いっそうイスラエル寄りと言えるでしょう。ただ、両候補ともに、レバノンやイランの関与も見られるこの紛争を解決に導く道筋は描けていません。
対中外交:ハリス=バイデン路線継承、トランプ=中国製品に60%以上の関税
対中外交はどうでしょうか。
バイデン政権は中国を「競争相手」と位置付け、中国の南シナ海進出などへの警戒感を示してきました。台湾の自衛権を認める立場から、米台関係の強化を図る考えです。アジア太平洋地域では、日本を含め価値観を共有する国々の協力を深めて中国の動きをけん制する姿勢で、ハリス氏も基本的にこうした政策を継承する方向です。
これに対しトランプ氏は中国により強い姿勢で臨む方針です。「アメリカ・ファースト」で米国の企業、労働者を守るためとして、中国製品には60%以上の関税を課すと訴えています。一方、中台関係を含む安全保障分野では、トランプ氏の姿勢に不透明さが残ります。習近平国家主席の強権的な政治手法に共感を示すなど、一貫性を欠く部分もあります。
トランプ氏は多国間の協力関係よりも各国と個別に交渉するスタイルを好み、北大西洋条約機構(NATO)からの離脱も否定しません。安全保障に関する米国の負担を嫌うためで、日本に対しても米軍駐留経費などをめぐり一層の負担を求める可能性があります。