避難先でも尽きない今後の不安

 避難先ではどういった生活を送っているのか。

 それは人それぞれだ。個人で家やアパートを借りる人、親族の家に行く人もいるが、身寄りもなく経済的に厳しくて身動きが取れない人たちは避難施設に向かうことになる。

 ドネツク州からの避難民を数多く受け入れているドニプロ州の避難施設を訪ねた。ここの避難民は、ほとんどがドネツク州からで、ロシア軍が占領をすると予想されるポクロフスク近郊から逃げてきた人も多い。

 直接の戦火からは遠ざかったことで、少し安心しているようでもあったが、話を聞けた人々は皆、「この先どうしたらいいのか」と不安を口にした。

 ドネツク州から避難してきた男性も日本から来た筆者にこう訴えた。

「国際社会にお願いがあります。私たちだけでは対処ができません。どうか助けてください。ここでの暮らしは一時的なものなら良いですが、長くは続けられません」

 避難前に戦争によって身体的に被害を受けた人もいる。8月末にドネツク州トレツクから避難してきたヴァレリーさんは、台所でお茶を飲んでいたときに砲弾が家の近くに着弾、飛んできた破片が左手に当たり指2本を失ってしまった。