避難バスに向かう途中にカメラを向けると、気さくな笑顔でポーズをしてくれた少女。住み慣れた土地から子どもたちを引き剥がす戦争に理不尽な思いを禁じ得ない。

 本連載で何度も遭遇したが、ペットも戦争の被害者だ。犬を連れて一緒に避難してきた人も。基本的にケージがあれば、犬や猫も避難できるそうだ。

避難する人は必ずしも元気な人ばかりではない

 バスは一度に10~20人程度の避難民と荷物をのせて、ポクロフスク市とドニプロ州を日に2~3回ピストン輸送する。写真のバスは2時間ほどかけてドニプロ州パブログラードに行き、その後各地域の避難施設などに振り分けられる。

 バスの車内には荷物も多く積まれる。とにかく持てるだけの荷物を持って避難してきているからだ。

 バスに乗る前に、パスポートの確認と登録が必要だ。書類などによる手続きはボランティアに頼っている。避難する人は必ずしも元気な人ばかりではない。取材している筆者の目の前で、目の不自由な女性が現地のボランティアに寄り添われバスへと向かって行った。

 一時的な休憩所ともなっているバスの待合場所では、ボランティア団体が軽食を用意している。

 避難バスに乗り込んでも、なお不安な表情のままの高齢女性に出会った。避難先のドニプロ州もロシア軍からミサイル攻撃を受けており、安全と言い切れるわけではない。受け入れ先の施設に不安を持つ人も多いという。