6月6日に発生したウクライナ南部ヘルソン州の巨大ダム決壊。東京23区と同規模の600平方キロメートルが水没したとされ、農業被害も深刻化するとの懸念が浮上している。

大規模な洪水被害に見舞われる中、現地では必死の救助活動と支援活動が展開されている。ダム破壊から1週間。徐々に水位は下がりつつあるが、住民や街の被害は甚大だ。

カメラマンである筆者は、ロシアのウクライナ侵攻によって翻弄され続ける人々を写真を通じて記録してきたが、今回のダム洪水が起きた現地に入った。そこで見た生の様子をお届けする(写真はすべて筆者撮影)。

(小峯 弘四郎:カメラマン)

約8カ月半占領されたヘルソン

 では街の様子から見てみよう。

 まず見えてきたのが打ち捨てられたトラックだった。少し水が引いたようだが、ボンネットの上には木の枝が乗ったままになっており、そこまで水位が高かったことが分かる(写真1)。

【写真1】

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 ヘルソン州ヘルソン市は、約8カ月半の間ロシアに占領され、2022年11月11日にようやく解放された。「ヘルソンはウクライナだ」のメッセージが書かれている看板も足元が水に浸かっている(写真2)。

【写真2】