連載:少子化ニッポンに必要な本物の「性」の知識
(敬称略)
結婚生活を営んでいても、浮気をして、それが発覚すれば、世間の批判や好奇の目にさらされて、家庭崩壊に陥ることもあるだろう。
そこで、もし離婚ともなれば慰謝料を請求されるなど、不倫の代償は高くつくというのが相場である。
では、浮気は本当に悪なのか。
男(雄)と女(雌)の関係は、地球上の多くの生物を観察するまでもなく、本来、性愛行為は限りなく自由なものではないのか。
人類が誕生してからおよそ500万年、その中で最古の結婚といわれるのが約2万3000年前の墓地遺跡で見つかった、男女が抱擁し合って埋葬されたカップルである。
だが、多くの国で結婚に関する法的枠組みが整ったのは、19世紀以降、わずか100年足らずのこと。
もともと人間は、たとえ伴侶がいても男も女も伴侶だけのものではなく、他のパートナーができたら、その伴侶とパートナーの双方を肉体的にも精神的にも愛でることが、有史以来続いてきた男女の在り方である。
男と女、それぞれが異性に求めるのは、容姿などの外見、セックスの相性だけでなく、尊敬、信頼、愛情といった心の拠り所や、富や名誉、権力など、様々な要素がある。
もし、結婚したとして、そうした求めるもののすべてが、結ばれた相手に備わっているわけではない。
よって、人は結婚したとしても、求めるものを備える他の異性に惹かれるのは自然なことなのだ。
増加傾向の自由な男女関係の形態
不倫や浮気を隠すことなく、互いに容認する夫婦関係をオープンマリッジといい、昨今、増加傾向にあるらしい。
さらには、そうした単体を対象とした不倫ではなく、複数の相手と同時に恋愛、性的関係を結ぶ形態をポリアモリーという。
これはラテン語のAmor(愛)とギリシア語のPoly(複数)の組み合わせた造語である。
ポリアモリーは、複数のパートナー全員の合意を得た上で、複数の恋愛・性愛を意味するライフスタイルをいう。
こうした形態は、一般的な婚姻形態や一夫多妻制よりも、さらに自由な男女関係といえる。
歴代米大統領の中には、伴侶がいても、夫婦が共有する目標が達成できさえすれば、結婚で互いを縛らずに、他の誰かと恋愛や性愛の自由を認めるという、ポリアモリーのスタイルを実践している夫婦も珍しくはない。
そうした価値観を共有することで、例えば米大統領夫妻であっても、妻であるファースト・レディが大統領である夫以外の男性との恋愛やセックスを愉しめる。
大統領の夫婦関係は、互いを戦略的パートナーとして必要としている。そのため、「浮気はご自由に、しかし、離婚しない」といった婚姻関係が継続できるのだろう。