フォームを変えてナイキ厚底にシフト

鈴木選手と「アルファフライ 3」

 大東大時代に駅伝で大活躍した鈴木だが、高校時代と現在でフォームが違うという。

「大学時代にフォームをイチから変えました。以前は足を地面に叩きつけるような走りでしたが、足を接地した瞬間だけ出力を出すような走りを意識するようになったんです。そこから徐々にナイキの厚底にハマり始めて、今こうしてマラソンに生かすことができているのかなと思っています」

 力強さはそのままに効率的なフォームを身に着けた鈴木は駅伝のロング区間で快走を連発。マラソンでも結果を残した。そのパートナーとなったのがナイキのシューズだ。パリ五輪では前足部にエアが搭載されている『アルファフライ 3』で激走したが、普段はどんなシューズを使用しているのか。

「レースペースの練習は『アルファフライ 3』を履いて、レースに近い状態で走っています。ただ厚底に頼り過ぎてもいけないので、ペース走や距離走は『ペガサス ターボ ネクスト ネイチャー』を着用しています。ほどよいバネ感があり、足底で地面をしっかり捉える感覚を作ることができるんです。ジョグは長い時間走るので、クッション性のある『インフィニティラン』ですね。疲れているときでも安心して接地できますし、普段のジョグから地面の反発をもらえるように意識しながら走っています」

山下コーチと目指すもの

 2028年のロス五輪を大きなターゲットとして、山下佐知子エグゼクティブアドバイザー兼特任コーチと長期計画でマラソンに挑んできた鈴木。パリ五輪で「6位入賞」を果たしたが、鈴木に浮かれた様子はない。冷静に自分の実力を推し測っている。

「パリ五輪に向かうにあたって、自分の等身大は絶対に見失いたくないと思っていました。今後の一番大きな目標は4年後のロス五輪です。どんどん自分をアップデートして、いろんな大会にチャレンジしていきたい。その過程で日本記録(2時間18分59秒)も更新したいですね。そのためにトラックのスピードも必要になってきます。とにかく私らしく走るところを見せたいと思っています。自分で攻める走り、思い切っていくレース。マラソンランナーとして、表現者として披露していきたいです」

 来年の東京世界陸上、4年後のロス五輪に向けて、鈴木が〝世界にひとつだけの花〟を咲かせてくれるだろう。