「市民は難しいことは分からない」と言い放った幹部

「なぜ樋渡さんは急に大学反対って言っているのか?」と聞かれることがある。実はこれまでも小松さんには意見をしてきた。

 もともと小松さんを総務省から武雄市役所に呼んだのは市長時代の私である。ご本人や私の意向にかかわらず、「小松さんは樋渡の後継者」と言われ続けていた。

 そういった背景もあり、オープンなSNSではなく、LINEやメールなどで小松さんや幹部に「大学の問題点や課題」を送っていた。特におカネの件は「1億円までなら、何とか世論も納得するだろう」と具体的に伝えていた。

 しかし、小松さんからはいまやLINEの返事もない状況だ。複数の有識者の厳しい意見も付していたが、彼らからは何ら具体的な回答もない。

 だからこそ、私は今回、こうやって公に声を上げることにした。

 聞き捨てならないのは、市の幹部の一人が、ある市民に対して「どうせ市民は難しいことは分からない」と言い放ったということだ。

 何を言うにしても、行政の人間として、このことだけは絶対に言ってはならない。即更迭だろう。この人たちは聞く耳を持たないと見られても仕方がない。

 ちなみに、この幹部は、「大学問題で市長が暴走したら私が止める」と私宛にメッセージを送ってきたこともある。今、この人や周りの職員は何を思っているのだろうか。

 小松さんは市民を無視していないと信じたい。しかし外形的に言うと、市民を無視しているようにしか見えない。

 最近、地元の高校生から「武雄アジア大学は進学先としてまったく眼中にない。意味不明です」と聞いた。

 説明会をしっかり開いてくれという切なる要望を聞き入られることなく、申請の17日を迎えることは、とても悲しい。

 あらためて、小松さんには言いたい。あなたの責任の取り方はすぐに無謀な計画から手を引き、そもそも旭学園に申請を出させないことだ。

樋渡 啓祐(ひわたし・けいすけ)
1969年 佐賀県武雄市生まれ。東京大学経済学部卒業後、総務庁(現総務省)に入庁。高槻市市長公室長などを経て、2005年 当時全国最年少36歳で武雄市長に就任。市民病院の民間移譲、年間100万人の武雄市図書館を実現。2015年佐賀県知事選で敗れ、樋渡社中を結成しCEO。関西学院大学大学院客員教授、一般社団法人全国自治体ライドシェア連絡協議会共同代表