「TSUTAYA図書館」などで知られる佐賀県武雄市が大きく揺れている。現市長・小松政氏が13億円もの税金を投入して進める「武雄アジア大学」誘致計画に、前市長である樋渡啓祐氏が公然と反対をしているからだ。大学誘致のなにが問題なのか、後継者とも言われてきた小松氏との間になにがあったのか、樋渡氏がすべてを明かす。
(樋渡 啓祐:前佐賀県武雄市長)
「武雄アジア大学」計画とは?
佐賀県の旭学園という小規模学校法人が、10月17日に「武雄アジア大学」という新しい大学の認可に向けて文部科学省に対して申請を行うという。
思えば3年前の冬だった。3度目の武雄市長選挙に臨む小松政(ただし)武雄市長がその決意を明らかにした席で、傍らにいた私に「選挙公約に大学の誘致を入れました。大学誘致を進めていきます」と一言もらしたとき、嫌な予感がした。
不幸にもそれは的中した。
ここ1年は、会う人がみな私に、「なぜあんな大学を13億円も出して小松さんは誘致するのか?」と不信感をあらわにしてくる。私に説明を求められてもどうしようもない。
佐賀市で佐賀女子短期大学を運営する学校法人旭学園が、武雄市に4年制大学を新設することを明らかにしたのは2023年2月のことだった。その後、校名は武雄アジア大学と決まった。
学部は現代韓国学部、次世代教育学部の2学部とし、最短で2025年の開学を目標に、23年に文部科学大臣に設置許可を申請すると発表した(その後「東アジア地域共創学部」の1学部に変更)。
ちなみに現代韓国学部は、「韓国をはじめ、日本やアジア諸国のエンターテインメントをビジネスの切り口から学んだり、比較文化の観点で研究したりすることで、次世代の国際交流を担う人材の育成を図る」というのが売り文句だった。要するに、ブームだったK-POPを学ぶことを考えたらしい。
本来は去年10月に大学設置申請を出す予定だったが、結局、計画をまとめられずに延期した。今回、その申請を行おうとしているのだ。
では、この武雄アジア大学の何が問題なのか。