四半期で1兆円の利益でも謝罪する企業がほかにあるだろうか?(7月8日撮影、写真:ロイター/アフロ)

 サムスン電子の半導体事業部門の責任者である副会長が決算発表と同時に「まずは申し訳ありません」で始まる声明を出した。

 その四半期営業利益は日本円換算で1兆円。これだけ稼いで謝罪した経営者がかつていただろうか?

 2024年10月8日、サムスン電子が2024年7~9月期の決算(暫定値)を発表すると、韓国メディアは速報で一斉に報じた。

前年同期比で利益は3.7倍!

 7~9月期の売上高は前年同期比17%増の79兆ウォン(1円=9ウォン)、営業利益に至っては同3.7倍増の9兆1000億ウォンだった。

 1年前と比べると半導体の在庫調整が一段落し、大幅増益となった。営業利益は1兆円相当になったのだ。

「衝撃的な業績」

 この日の夜のテレビニュースも、翌朝の主要紙もすべてトップニュースで伝えたが、その見出しは利益3.7倍とは正反対の危機的な内容だった。

「サムスン半導体トップの初めての反省文」(毎日経済新聞)

「危機のサムスン電子“申し訳ない”」(朝鮮日報)

「半導体競争力落ちて サムスン電子だけに冷たい風」(ハンギョレ新聞) というものだった。

 1兆円の利益というような明るい報道は絶無だった。大手紙は「社説」まで掲載した。その見出しもすごい。

「私たちが知っている“サムスン電子”はどこに行った」(朝鮮日報)

「サムスン電子業績ショック、新技術競争力復元を急げ」(中央日報)

「謝罪までしたサムスン電子、パラダイム転換こそ生きる道」(ハンギョレ新聞)

 大変な騒ぎなのだ。