正味作業の見直しで売り上げを伸ばしている驚きの会社

 トヨタ以外の例をご紹介します。私の友人が3代目社長を務める宮城県の住宅会社「株式会社あいホーム」(代表取締役 伊藤謙、社員数80人)では、作業のムダ削減と業務の効率化を図り、好業績をあげています。

 この会社では、通常は正味作業とされる対面商談や建売住宅の現地見学会さえ見直し対象とし、地場の中小企業にもかかわらず、大手に先んじてスマホ画面サイズに対応したデジタルカタログや建売住宅のバーチャル内覧などを導入しています。

 2020年、コロナ禍(外出自粛)で来店客数が3割減少したそうですが、これらの取り組みが功を奏し、商談なしに「この家、買います」と契約してくれるお客様が増え、なんと前年比で売り上3割増を実現しています。

 ムダに気づける、見つけられる、というのもビジネススキルや能力の1つです。スキルや能力はトレーニングを通じて高めることができます。ぜひ、作業の3分解からステップアップしていきましょう。(続く)

森琢也(もり・たくや)
株式会社クック・ビジネスラボ代表取締役。中小企業診断士

 2007年明治大学商学部卒後、トヨタグループの大手自動車部品会社(デンソー)に入社。配属された経営企画部署では、製造現場でのトヨタ生産方式の浸透、グループ会社支援など数千億円ビジネスの全体像を学ぶ。事業企画に異動後は、採算改善プロジェクトのリーダーとして、世界5拠点で生産する新製品の採算V字回復などに携わる。
 約10年の勤務後、リクルートマネジメントソリューションズに転職し、研修講師の採用・育成を担当。トヨタグループでの経験を活かして、コストと工数を大幅に削減しつつ、3年間で延べ8000人を超える40代以上ハイクラス人材を選考した。
 2020年に独立後は経営コンサル事業にて、中小企業向け事業計画作成・実行支援を行い、補助金獲得総額5億円超、採択率90%以上を達成。また、研修事業では、大企業からの直接受注を中心に累計100社以上、参加者数6000人以上に研修を実施。複数の仕事(事業)を同時に取り組んできた経験も踏まえ、組織や個人の仕事の生産性向上を支援している。