1カ月以内の寄付金が増加した感情とは

 実は、結果は単純なものではなく、短期と長期、そして対象となった組織の性質で異なる反応が見られた。

 まず短期(1か月以内)の効果で言うと、この期間に寄付を増やす効果があったのは「喜び」「怒り」「悲しみ」の3種類だった。
 
 フレッド・ホローズ財団について、短期的な寄付金アップとの関連性が見られたのは、マーケター(寄付金を受ける団体自体)による「悲しみ」の表明と、ユーザー(その団体に関するツイートを行った一般の人々)による「喜び」の表明だった。

 つまり、これらの感情がそれぞれのツイート上で多数確認されると、1カ月以内の寄付金が増加していたのである。

 オークランド大学については、ユーザーによる「怒り」の表明が、短期的な寄付金の増加と関連しているとの結果が得られた。ただ興味深いことに、ユーザーによる「驚き」や「悲しみ」「嫌悪感」はマイナスの影響を与えることが確認されたそうである。

 それでは長期的な傾向についてはどうだろうか。この場合、関連性が確認された感情は「怒り」「悲しみ」といったネガティブ系の感情だったが、ここでも組織による違いが見られた。

 フレッド・ホローズ財団について、寄付金額の増加と関連性が見られたのは、マーケターによる「悲しみ」の表明だった。これは短期にも見られた傾向だが、それが継続することが確認されたわけである。

 しかしユーザーのツイートにおける「喜び」の表明は、長期的には寄付金額アップ効果が薄まることが確認された。同じくユーザーによる「怒り」の感情も、長期的に寄付を減少させる効果があると確認されている。

 オークランド大学については、マーケターによる「嫌悪」の感情、ならびにユーザーによる「驚き」と「悲しみ」の感情が、長期的な寄付金の減少と関連していることが確認された。ただ、ユーザーによる「怒り」の表明については、短期から引き続き、寄付金アップとの関連性が見られたそうである。

 なぜ2つの組織で違いが見られたのか。その理由として考えられるのが、組織の性質の違いである。