「同類婚」が格差を拡大する?
ただし、「同類婚」では高学歴同士や高収入同士などで結婚する傾向が強まることから、世帯間の所得格差が拡大・固定化することを懸念する声もある。最近では、高収入同士が結婚した「パワーカップル」という言葉も広がっている。年収600万円同士が結婚すれば世帯年収1200万円の「パワーカップル」が誕生する。年収が低い者同士の世帯や、共働きではない世帯との間で大きな年収格差が生じることになる。
共働きが当たり前でなかった時代には、所得の高い男性と結婚した女性は専業主婦になり、所得の低い男性と結婚した女性はパートなどで家計を助けているケースが少なくなかった。そのため、いまほどの格差は生まれなかったのかもしれない。
また、子供ができると、世代を超えて格差が固定化していく可能性もある。世帯年収が高いほど子供の教育にかけられる資金の余裕が生まれる。それが教育格差となり、将来にわたって同類婚を再生産していくわけだ。
フルタイムで働きキャリアを築いている女性は、出産・育児休業後の職場復帰もしやすく、いったん、退職した場合でも再就職できる可能性も高いだろう。パワーカップルほど家事や育児のアウトソーシングも比較的容易なため、子育てしながらでもフルタイムで仕事にまい進できそうだ。
一方、収入が低い世帯では家事や育児のアウトソーシングも難しく、主に女性がフルタイムで働くことを諦めてしまうケースもあるようだ。こうしたことも、格差を拡大・固定化する要因になりえるだろう。
「同類婚」によって広がる世帯間格差は、すでに欧米諸国では顕著なものとなっているという。日本でも今後、パワーカップルが増えていくに従い、格差が大きな社会問題になっていくかもしれない。