「早期退職されたという元テレビ局員のハケンの男性は、意識高いんですよ。シフトのことや業務のことで派遣会社の不満を言ってきます。私はただの現場リーダーで、身分は同じハケンですから、派遣会社との板挟みになってつらいです」
この元テレビ局おじさんは、月曜はA大学、火曜はH大学……といくつかの大学の業務をかけもちしているそうである。
「ハケンおじさんのほうが教授よりも威張っています。最近の大学教授って、ポロシャツ姿のラフな雰囲気の人が多いので、ハケンのおじさんがスーツ姿でいると、どっちが教授だかわからない(笑)」
ちなみに、最近の大学には学生として入学する「おじさん大学院生」などもいるので、教授・院生・ハケンのおじさんの三つ巴になると、派遣女子の手に負えないカオスになるそうだ。くわばら、くわばら。
ハケンおじさんのお世話に追われるハケン女子
もう一人、都内の有名大学の図書館で司書として働いているB子さん(40代)からも、ハケンおじさんの証言を得た。
「ウチの大学図書館には、受付係に50〜60代の男性が数名います。以前はパートの女性ばかりだったのに、ここ2〜3年で中高年男性が増えました」
図書館も非正規ばかりが集う、「高飛車」最低賃金の現場だ。ただ受付係は貸出と返却などを行うだけで、無資格でもできる仕事だという。ここのおじさんはどうだろう。
「ええ、ハケンおじさん面倒くさいです。受付に座っている時は、居眠してるのに、勤務時間とかシフトの話になると、『その日はスポーツクラブ』とか文句を言ってきます」
さらにB子さんを困らせているのは、おじさんたちの飲み会攻撃だ。
「60代の男性シニアのハケンさんは『飲みに行こう』ばかり言ってきて。彼らは毎日シフトに入ってないので、ヒマを持て余しているんです。仕事というよりサークルに来ている感じ。私たちは子育てしながら働いているので、夜飲みに行くお金も時間もないのに」
B子さんは夏休みに、ハケンおじさん3人から巨人戦のナイターに誘われた。派遣リーダーのB子さんは小学生のお子さんを連れて行ったが、ほかの派遣女子は誰も参加しなかったため、3人のおじさんを一人で相手したそうだ。
「まあ、お金は全部おじさんが出してくれました。それに小学生の息子には食事やプレゼントなどたくさんいただいて。息子は『おじいちゃんが3人』と言って、一番喜んでいましたが」