米国はAIで原油の生産性が向上

 国内の政治的対立により日量40万バレルまで減少していたリビアの原油輸出量はようやく以前の水準(同100万バレル)に戻る目途が立ちつつある。

 米国では再び新たなハリケーン「へリーン」が米メキシコ湾岸に向かっているが、石油関連施設が集中する地域は避けられる見込みであり、米国の原油生産が再び支障をきたすことにはならない模様だ。

 原油生産の効率化は着実に進んでいることから、世界最大の産油国となった米国の石油産業の足腰は強靱になっている。

 石油掘削装置(リグ)の稼働数が右肩下がりの状況が続き、500基を割り込んでいるのにもかかわらず、人工知能(AI)の導入で過去最高水準に近い原油生産を維持できているのだ。AIを活用することで頁岩(シェール)と呼ばれる硬い岩盤に埋蔵されている原油を掘り当てる精度が向上し、採掘コストも下がっている*1

*1AIが抑える原油価格 生産効率化、中東も熱視線(9月23日付、日本経済新聞)

 石油大手による合併も進んでおり、競争力を高める米国の石油産業はOPECにとってさらなる脅威となっている。

 このような状況下でも原油価格が1バレル=60ドル台後半を維持できているのは中東地域の地政学リスクのおかげだ。

 中東情勢は新たな段階に入ったと言っても過言ではない状況にある。