深圳で刺された日本人男児が亡くなった翌日、日中で交わされた「重要な合意」
9月18日、中国広東省深圳で、日本人学校に通う10歳の日本人男児が、44歳の失業者の中国人男性に刃物で襲われ、翌日に死亡する事件が起こった。この問題は、いままさに佳境に入っている自民党総裁選でも、9人の候補者たちが揃って怒りを表明するなど、新たな日中問題の火種となっている。
22日には柘植芳文外務副大臣が急遽、訪中して、翌日に孫衛東中国外交部副部長に抗議。国連総会が開かれているニューヨークでも、日本時間の24日に上川陽子外相が、中国の王毅外相と会談し、抗議した。
この一週間というもの、まさに深圳の凶悪事件に、日中関係は振り回された感がある。だがそんな中で、20日に日中間で「重要な合意」がなされていた。
中国は昨年8月24日から、福島第一原発のALPS処理水(トリチウムを除くすべての放射性物質を安全基準を満たすまで浄化した水)が、太平洋に放出され始めたことを理由に、日本産水産物の輸入を禁止してきた。その輸入を段階的に再開していくという合意だ。9月20日午後、日本外務省と中国外交部が、ほぼ同時に発表した。
だがこの両国の発表文、内容が微妙に違うのである。合意した内容は一つのはずなので、おかしな話だ。