コロナ禍にラスベガスで2度の防衛戦、その後「世界トップ」に

 ラスベガスでは過去2度、世界王者として防衛戦に臨み、いずれもKO勝利を収めている。しかし、コロナ過での開催で、20年10月は無観客、21年6月の入場制限が実施された中での試合だった。

 その後、井上選手は絶大な存在感を持つようになった。22年6月、世界で最も権威あるボクシングの米専門誌「ザ・リング」の階級を超えた格付けランク「パウンド・フォー・パウンド」(全階級のボクサーの実力を、体重差がなかったと仮定して比較したランキング)で、日本人初の1位になる快挙を達成。その後にバンタム級とスーパーバンタム級でいずれも4団体統一の世界王者に輝いた。

 アラム氏は井上選手のことを「いまや世界のボクシング界の『顔』」と評し、その試合にふさわしい会場として、2万人収容のT-モバイルアリーナや、MGMグランドアリーナを候補に挙げた。実現すれば、ボクシングの本場で日本からの観戦客を含む大勢の前でのファイトとなる。

 気になる今後の対戦予定として、井上は試合後に「次は12月という話もある」と語った。これは国内でのタイトルマッチになる可能性が高い。リングに立てば、今年は5月の東京ドーム、この日の有明アリーナに続き、2017年以来の年間3試合を戦うことになる。

(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)

 次戦はIBF・WBO1位のサム・グッドマン(オーストラリア)が有力視され、大橋秀行会長も「まだ全然決まってないが、次はサム・グッドマンの可能性もある」と認める。

 サンケイスポーツの報道によれば、井上選手は来年も3試合を希望しており、そのうちの国内開催が有力な2試合は首都圏以外の大都市興行の可能性もあるという。

 さらに、アラム氏は、トップランク社が契約した世界3階級制覇王者のWBC世界バンタム級王者、中谷潤人選手(M・T)との対戦についても「うまくこのままいけば来年、井上対中谷が最も歴史的で大きな日本での試合になるだろう」と期待した。

 中谷選手は9月4日付のスポーツニッポンに観戦記を寄せ、この中で自身が対戦相手の候補に挙がったことに「対戦はそう遠くはないと思う。感覚的には2年以内くらいになると想定している」と意欲を示す。