ゼレンスキーの目標は国境沿いに非武装地帯をつくること

――ゼレンスキー大統領の目標は、そしてプーチンの目標は何だと思いますか。

ロペス ゼレンスキー大統領の目標は、国境を守り、ウクライナ領内のロシア軍を壊滅することだ。和平交渉の前に、国境に沿って非武装地帯(DMZ)を設けることだ。

 プーチンは3年近く軍隊に血を流させてきた。彼は勝利を望んでいるが、今はクルスク、ベルゴロド方面でロシア軍の壊滅に直面している。

――この戦争はいつまで続くと思いますか。

ロペス 2025年の終わりまでに戦争が終わることを願っている。

――ウクライナ軍は大規模な反攻を実施する準備ができている。

ロペス もしウクライナがクルスク、ベルゴラド方面でロシア軍を破れば、クリミア方面への作戦継続が可能になる。

――ウクライナ軍の実情をどう見ていますか。

ロペス 現在、陸軍は強力だが、マンパワーは常に懸念事項だ。もう一つ懸念されるのは、国全体、特に攻撃軸に沿ったロジスティック・トレイン(筆者注:作戦中の軍への補給と支援に関わるシステムとプロセス全体を指す)だ。

 部隊には訓練を受け、対装甲・防空兵器を十分に装備した兵員の補充が必要だ。

 私は常々、領土防衛隊は前線の有力部隊と同じカテゴリーレベルの装備と配備が必要だと主張してきた。

――来年、ゼレンスキー大統領に大きな勝機はあると思いますか。

ロペス これらはすべて追加部隊の動員、ウクライナの兵器システムの配備、ロシアへの深部攻撃にかかっている。

――ゼレンスキー大統領の勝利プランは何だと思いますか。それは実現可能でしょうか。

ロペス 戦争を支援するロシアのインフラを破壊し、ロシアとベラルーシの国境沿いに非武装地帯を作ることと、ウクライナ領内のすべての敵軍の捕獲または破壊だ。

 これは実現可能だが、西側諸国の助けが必要になるだろう。そうでなければ、戦術的なバトルプランを実行するのにさらに時間を要する。

【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。