これまでの改革とは異質の「7回制」の議論
高校野球は、かつてない「改革の時期」を迎えている。筆者の偽らざる感想だ。
2018年の「公式戦、13回以降のタイブレークの導入」、2023年の「タイブレークを10回以降に短縮」、同年夏季からの「クーリングタイムの導入」、さらに今春の甲子園(選抜大会)からの「反発係数の低い金属バットの導入」、そして夏の甲子園(選手権大会)からの「試合開始時間の変更」。ついには「7回制の導入の検討」を議論することが発表された。
こうした矢継ぎ早の改革は、日本高野連が主導している。現日本高野連の寶馨会長が、改革に意欲的だと言われるが、日本高野連に出向いて継続的に取材をしている筆者も、強い意志をひしひしと感じている。
しかし、今回の「7回制の導入」は、野球という競技の根幹にかかわる部分の改革だ。用具や試合時間の改定とは根本的に異なると言っても良いだろう。
なぜ、高校野球は「7回制」を検討するに至ったのか?
その背景に「年々進む温暖化」があるのは間違いない。
昭和の昔、8月であっても最高気温が30度程度だったが、今は35度を上回ることも珍しくない。気象庁は、暑さ指数(WBGT)をもとに高温注意情報を出すようになっている。
既に公益財団法人日本サッカー協会(JBF)は、2016年にWBGTに基づく「熱中症対策ガイドライン」を発表している。
前述のように日本高野連も昨年から、夏の甲子園では5回に10分間のクーリングタイムを設けるなどの対策を実施しているが、これに加えて今年の夏の大会は開幕から3日間に限り試合開始時間を午前と夕方の「二部制」にし、気温が最も高い午後の時間に試合をしないようにしたのだ。