驚異の盗塁成功率

 エンゼルスに在籍していた昨年9月に右肘を手術し、今季は、DHで打撃に専念してきた。投手としての負担がない分、注力したのが「足」だった。

 日本ハム時代は2桁盗塁は一度もなく、メジャー移籍後も最多が21年の26個だった。今季は126試合の出場で、20個だった昨季の2倍をマーク。サンケイスポーツのウェブサイトによれば、この日の試合後の取材で「ドジャースに来てから、いろんな人と話して、積極的に次を狙っていく姿勢をつくりたいなと思っていましたし、しっかり自分の足を生かしていく方法を探しながら、コーチの人たちと話して、コミュニケーションを取れているのが、一番かなと思います」と答えたという。

 盗塁には、脚力だけではなく、相手投手との駆け引きや、牽制などの警戒をかいくぐってスタートを切るタイミングなど、高い走塁技術が求められる。強力なドジャース打線は後ろに好打者も控えるため、いかに失敗をせずに得点の機会を高めるかが重要になる。大谷選手の「盗塁に関しては失敗しないことをまず第一に考えながら、やりたいなと思っています」との言葉通り、失敗はわずかに4度しかない。驚異の成功率91%という安定感が際立つ。

 筆者は、かつてメジャーでプレーした経験がある投手に、「投打の二刀流」について見解を聞いたことがある。

「先発投手は登板日の翌日は全身が筋肉痛になる。とてもではないが、野手として試合に出るという発想は浮かばない」

 それだけ、体力的にも、精神的にもタフは挑戦を当然のようにこなしてきた大谷選手が、今季は打者に専念する中で体力的な余裕を生むことができていることも、「40-40」達成の背景にありそうだ。