防衛装備品・技術移転協定(2016年発効)に基づき、2023年10月 に1基目、2024年3月に2基目の警戒管制レーダーが比空軍に納入された。

 併せて、巡視船供与を含む海洋安全保障能力向上にかかる協力も進めている。

 また、南シナ海における日米豪比による海上協同活動(共同パトロール)を行うとともに、自衛隊が米比合同軍事演習「バリカタン」に参加したように、日比両軍が相互に共同訓練・演習に参加するなど、共同対処能力と相互運用性の向上を目指している。

 オーストラリアは、比国との間に「協力的防衛活動に関する了解覚書(MOU)」(1995年)、「豪比相互訪問軍隊地位協定(SOVFA)」(2012年)および「豪比相互補給支援協定(MLSA)」(2021年)を締結し、それに基づき比国との防衛協力を強化している。

 比国は、台湾とともに、南シナ海やバシー・ルソン海峡といった重要なシーレーンに面している。

 また、接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略の下、中国が展開する覇権的拡大を阻止して「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を確保する上で、日米豪にとって、その戦略的重要性は計り知れないものがある。

 そのため、日米豪を中心に、比国や台湾など第1列島線国の防衛能力強化に協力し、それらを連結し、切れ目のない強靱な「島嶼国統合防衛構想」を推進することの意味は大きい。

 同時に、我が国は南西諸島を焦点とした我が国の防衛体制を強化するとともに、中国の比領土に対する侵略的アプローチを真剣に研究し、中国の尖閣諸島侵略に一分の隙や口実も与えないよう、さらなる防衛警備の強化が望まれる。