なぜ私がこの事件に注目するのか

 なお、私がどうして本件を注目するか、その理由や動機を周囲の東大生たちからも問われますので一言付しますと、こういう現象はこの人物一人ではないと知っているからです。

「無謬」を前提とする組織や力が、あり得ない横暴を働くさまを、私自身もここ四半世紀、身近に見てきてしまっているからです。

「副知事よろしく早期逃亡」の事例なども多数目撃、こんな日本では、まともな未来が次の世代になくなってしまうと、強く憂慮するからにほかなりません。

 それとほぼ同一の思いをお持ちだった渡瀬康英さん、他人事とは思えないのです。

 私自身とたった1歳違いで、完全に同世代の渡瀬さん、2024年4月からは、県と無関係な姫路女学院中学校・高等学校の学園長職に決まっていたという渡瀬県民局長。

 多くの人に愛された、強い正義感を持つ、理路整然たる道義の人が、あのようなくだらない経緯の、完全なる人災で、いったいどのような最期を遂げられたか。

 いま兵庫県で起きている出来事を目撃して、徒手していることが罪であると思うから筆を執っているのです。

 そうしなければ、ナチス時代のドイツで、ユダヤ人市民への迫害を見て見ぬふりをしていたサイレント・マジョリティ、羊たちの沈黙と同じ罪を犯すことになってしまうと思うからです。

 末尾に、本文の内容を整理し、百条委員会で明確化されるべき論点を簡潔に再掲示しておきましょう。

偽証側:斎藤知事・片山副知事の言い分

 3月25日時点で 渡瀬氏は噂話を集めた虚偽を記したと自ら認めたので、27日時点で「嘘八百」「公益通報扱い」せず定年退職を阻み、4月4日の県への公益通報も無視して5月7日に懲戒処分を下した。

反証側:渡瀬氏が4月1日時点で明らかにした事実

 3月25日の朝、ノーアポで現れた片山副知事は、いきなり公務PCを持ち去り、私用のスマホも見せろと強要、まともなヒアリングなどほとんどなく去って行った。

 斎藤知事が認めたという「ありもしないことを書いたと渡瀬自身が認めた」説は、片山副知事がそのように報告したか(片山単独犯説)、片山・斎藤両名で相談して決めたか(複数犯説)、いずれにせよ「牛タン側」が公益通報扱いにしないために考え付いた証拠捏造の犯罪、不法行為で、処罰される必要があるのは斎藤知事と、片山氏以下の不法に職権を濫用した県首脳職員たちである。

 4月1日、エイプリルフールの日、「嘘をついているのは斎藤知事+片山副知事」と完膚なきまでに立証し、正規に県への公益通報も行ったのに、この両名は5月7日に無実の渡瀬局長に懲戒処分を下し、あまりにおかしいと自民党まで百条委員会を設けたところ、不法に落手したPCから得たプライバシーを逆手に脅迫を繰り返し、ついには7月7日、自殺に追いやった・・・という、実際の出来事のアウトライン、輪郭線が整理されて見えるかと思います。

 斎藤氏サイドは「居酒屋の噂話で、ありもしない内容を書いた」と渡瀬氏が「自ら認めた」を根拠に「死人に口なし」の詭弁を組み立てましたが「死人にも口はあった」。

 亡くなった渡瀬局長は、死してもなお、理路整然たる反証と証言をこの世に残しておられた。これを取り上げない百条委員会であれば、そんなものはやめてしまった方がよい。

 それくらい重要な「命がけのエイプリルフール」証言、死者が弾劾する四月馬鹿反証ですので、細かく確認するようにしました。

(本文終わり、次ページは渡瀬元局長が4月1日付で報道関係者に送った反論と記者会見のやり取りの一部を掲載、https://x.com/312Z5CVgus3uTje/status/1813766191955259900より引用)