斎藤知事の関与していない発言はナチス・ドイツのアドルフ・アイヒマンの発言を彷彿させる(1950年撮影、写真:ALBUM/アフロ)

 8月11日付の赤穂新聞は、「阪神オリックス優勝パレ―ド問題」で、兵庫県の片山副知事(当時)と斎藤知事が昨年12月の補正予算に関して信用金庫向けのへの補助金を突如として4億円に増額していた公文書一式を入手、詳細に報じています

 そして、まさにこれと同一の内容を今年3月12日、自決された渡瀬康英・西播磨県民局長(享年60)は告発文書に詳述。

 これを入手した「片山安孝副知事」「斎藤元彦知事」ら県首脳は、頭ごなしに「嘘八百」と決めつけ、真実を報道機関に通報したまさに「公益通報」そのものである渡瀬氏の行動を「居酒屋の噂話」と貶め、懲戒処分を適用、百条委員会が設置されると関係者がさらなる圧力を加え、ついには「死をもって抗議する」と自殺にまで追い詰めた、言語道断の所業が公文書によっても証拠づけられたことになります。

 さて、前回連載では連休前でもあり、8月7日の「兵庫県知事定例記者会見」に出典を限定して詳述するようにしたのは、百条委員会の議論を正当なものとするべく、論理の構造を明確化したかったからです。

 3月20日、斎藤知事は当該告発文書を目にし、「放置しておくと、多方面に著しい不利益が及ぼされる内容であると認識」したという。

 そりゃそうでしょう。自分たちの仕出かした悪事が、隠れもなく記されているのだから。

 そして、この都合の悪い「告発」を「公益通報」扱いしないための強弁として、斎藤知事は8月7日の会見で次のように述べてしまった。

「3月25日の午後に元県民局長が、資料にもありますが、一人で噂話を集めて、当該文書を作成・配布したことを認めたということです。この2点について、片山元副知事等から報告を受けたということになっています」

 ところが、そのような事情聴取が行われた事実も、そのときの調書なども何一つ出てこない。当然です。そんな聴取はなかったのだから。

 斎藤知事とそのブレーンは「死人に口なし」と思ったのかもしれませんが、自決した渡瀬局長は、3月27日の斎藤「嘘八百」記者会見の嘘に、4月1日時点で逐一反論を加えています。

「死者の証言」が、はっきりとエイプリルフールの日付で残されています(本記事の最終ページにその内容を記載)。

 以下、この渡瀬「エイプリルフール証言」の要点をまとめ、百条委員会で明らかにされるべき点を明確化しておきたいと思います。