10年後に吉野家の牛丼は1500円に、物価は3倍になる
藤野氏:1つ目が長期的なインフレです。
日本では3年ほど前からインフレが始まり、特にここ1年半で多くの消費者がインフレを実感するようになったのではないでしょうか。この30年間、日本以外のほとんどの国がインフレでしたが、日本だけがデフレの道をトボトボ歩いていました。ようやく日本もインフレの傾向になってきたに過ぎません。
それではこれからどういう世界になっていくのか。まず身近なもので考えると、吉野家の牛丼が10年後に1500円になります。これは予測ではなく将来の事実だと確信しています。今でも米国にいけば、同じ吉野家の牛丼が1500円程度で売られています。

まず日本が他国に追いつくだけでも1500円になりますが、米国や他の国も引き続きインフレは進んでいくと予想されます。日本が1500円になる頃には米国やその他の国では2000円、3000円ぐらいまでになっている可能性が高い。少なくとも牛丼が500円という時代は終わりに向かっています。
昨年末にロンドンを出張で訪れた際、サンドイッチを買いましたが大して美味しくないのに1200円もしました。日本のコンビニでは300円ぐらいで買えて、結構美味しいものです。
経済の原理に「アービトラージ(裁定取引)」というものがあり、価格差は埋める方向にエネルギーが働きます。そのため海外との物価差が埋まるまで日本の物価は上昇し続けます。吉野家の牛丼を考えると、これから物価は3倍に向かっていくということです。
物価が上がるということは企業の売り上げが上がるということにつながります。最終的には利益が重要ですが、売り上げと株価にも正の相関があります。物価が3倍になれば、売り上げも3倍になり、株価も3倍になるということです。
現状、日経平均は約4万円なので12万円になるということ。よく「藤野さん、日経平均10万円なんて強気ですね」と言われますが、「いやいや10万円はちょっと弱気なぐらい」と思っています。
——インフレで物の値段が上がれば、必然的に株価にも反映されてくるということですね。インフレ以外にも日本株の支えとなるものはありますか。