被選挙権25歳の国は世界で少数派

 では、世界各国の立候補年齢はどうなっているのでしょうか。

 18歳選挙権の実現を機に国立国会図書館がまとめた調査レポートによると、199の国・地域のうち、2015年時点でおよそ9割に相当する176の国・地域が18歳選挙権を導入していました(オーストリアやブラジル、キューバなど16歳・17歳が9カ国)。この年に18歳選挙権を実現させた日本は後発組だったことがわかります。

 被選挙権はどうでしょうか。下院ベースで見てみましょう。

図:国立国会図書館の資料からフロントラインプレス作成
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 国立国会図書館の2020年に公表した資料などによると、被選挙権の年齢が把握できた195の国・地域のうち、日本のように被選挙権を25歳としているのは55カ国(28.2%)でした。3割に満たず、世界の少数派です。

 一方、被選挙権の年齢を18歳としているのは、アイスランド、カナダ、スペイン、英国、フランス、ドイツ、マレーシア、ウガンダ、エクアドルなど65カ国(33.3%)を数えました。21歳は57カ国(29.2%)。さらに17歳は2カ国、20歳は1カ国、23歳は5カ国。これらを合わせると、7割近い国・地域で23歳以下の若者が立候補できる仕組みとなっていました。また、18歳選挙権の国々では、投票と立候補という両面で若者の政治参加が可能となっているのです。

 先進国36カ国が加盟する経済協力開発機構(OECD)に限ると、立候補年齢を25歳としている国は、日本と米国、イタリア、ギリシャ、リトアニア、韓国の6カ国しかありません。他方、18歳は21カ国、21歳は9カ国を数え、双方を合わせると8割超。日本などの25歳は少数派であることが鮮明になってきます。

 さらに注目すべきは「選挙権と被選挙権は同一年齢にすべきだ」という考え方です。 

 例えば、英国ではこの考え方に基づいて、2006年に立候補年齢をそれまでの21歳から18歳へと引き下げました。この法改正を事前に勧告した選挙委員会は「国際的には双方の年齢を同一としているケースが多いうえ、議員の職責を十分に果たせる若者もいるはずだ」と指摘し、英国も世界水準になるべきだと言及していました。

 立候補した若者が議員にふさわしいかどうかは有権者が決めるのであり、立候補の年齢を法で制限するのは民主主義のあり方として疑問があるとの考えに立ったのです。