7月7日の都知事選挙は、予想通り小池百合子知事の3選という結果に終わったが、選挙後も多くの論評が続いている。とくに、蓮舫を抑えて2位に躍り出た石丸伸二はマスコミに引っ張りダコで、テレビ局をハシゴする人気ぶりである。まさに社会現象となっているが、この石丸現象をきちんと分析する必要がある。
「石丸伸二」という男
石丸伸二は、1982年8月に広島県高田郡吉田町(現安芸高田市)生まれの41歳で、京都大学経済学部の出身である。大学卒業後、三菱東京UFJ銀行に入行し、アメリカなど海外での勤務も行った。
2019年7月の参議院広島県選挙区で、衆議院議員の河井克行は、妻の案里を当選させるために、市長や県会議員などに現金を配った。案里は当選したが、この買収工作が明るみに出て、2020年6月、河合夫妻は東京地検特捜部に逮捕された。
この過程で、安芸高田市の児玉浩市長が、河合から現金を受け取ったことの責任をとって、2020年7月3日に辞職した。そして、後継市長の選挙が行われることになったが、立候補の意向を示したのは副市長の竹本峰昭のみで、無投票当選になる可能性が大きかった。そこで、石丸は、7月8日に銀行を退職し、22日に立候補した。
選挙結果は、石丸が8076票で、5344票の竹本に勝った。地元出身の若い人が安芸高田市を変えてくれるのではないかという期待感が有権者を動かしたのである。