- トランプ氏が共和党全国大会で正式に大統領候補に指名された。
- 銃撃を受けたものの致命傷を免れたことで「神に選ばれし者」と支持者から崇拝される傾向が強まっている。
- もし致命傷を負っていたら内戦が勃発していたとの指摘もあるほど、米国内の分断は深刻な状況にある。
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
トランプ前大統領は7月15日、ミルウオーキー州で開催された共和党大会に登場し、11月の大統領選の党候補に正式に指名された。トランプ氏が公の場に姿を見せたのは13日の暗殺未遂事件以来初めてだ。事件で負傷した右耳がガーゼのようなもので覆われていたトランプ氏は発言しなかったが、会場では大歓声と「USA」コールが起きた。
「災い転じて福をと為す」ではないが、トランプ氏の事件直後の対応は見事だった。
青空にはためく星条旗を背景に、流血したトランプ氏がシークレットサービスの制止を振り切り拳を突き上げる写真が、同氏が「強いリーダー」であることを全世界に印象づけたからだ。
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トランプ氏が銃撃を受けながらも致命傷を免れたことから、キリスト教右派・福音派の支持者らは「同氏が『神から祝福された』候補である」との考えが広がっており、選挙戦で宗教的な崇拝を奨励する動きが一段と強まっている*1。
*1:死免れたトランプ氏、「神に祝福された候補」と支持者 神格化に懸念も(7月15日付、ロイター)
社会の現状に大きな不満を抱くトランプ氏の熱狂的な支持者は、同氏を「神に選ばれし者」とあがめていると言われていたが、この傾向はますます強くなるだろう。