2.ウクライナ北部に面した移動式レーダーを無人機攻撃

 ウクライナは4月16日、ロシア西部ブリャンスク州の移動式監視レーダー「Nebo」を無人機7機で攻撃した。

 ウクライナの北部を監視するロシアの監視能力を低下させたという。

 このレーダーは、約3800kmの範囲まで監視する能力がある。監視レーダー「RLM-M」とともに展開し連携すれば、ステルス機をも追跡することができると言われている。

写真 ブリャンスク州の移動式監視レーダー

出典:Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ

 ウクライナは2023年11月18日にも、クルスクのドミトリエフに展開していたNeboを含む2基のレーダーを破壊していた。その監視範囲は約3000kmである。

 これらのレーダーは移動式であるが、ウクライナに隣接するブリャンスク州やクルスク州に移動展開していたところを無人機で攻撃された。

 このレーダーは、ロシアの防空兵器である「S-400/300」の捜索レーダーが届かないウクライナの西側半分の地域に展開する、ウクライナ空軍戦闘機等の動きをキャッチしていたものであろう。

 ウクライナとしては、この地域での空軍機の動きがロシアに監視されるのは最も避けなければならないことである。

 一方、ロシアとしては、今後も含めて情報を取るために絶対に必要な警戒監視地域である。

 弾道ミサイルや戦闘機等を捜索し発見するためのレーダーが、大型で速度が遅い無人機の攻撃を受け、破壊されたということは、防空システムに公表通りの性能がないか、何らかの欠陥があるようだ。