ロシアのミサイルに攻撃されたウクライナの首都キーウのオフマディット小児病院。レスキュー隊とボランティアが瓦礫を片付け、犠牲者を捜索している(2024年7月8日、写真:AP/アフロ)

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

 2024年7月8日、ロシアはウクライナ各地に大規模なミサイル攻撃を行いました。

 そのうちの一発が、首都キーウにある高度医療の可能な小児病院に命中し、幼児を含む多くの人々が死傷しています。そして、この攻撃に関して、軍事施設を狙ったが外れた結果だとしたり、落下したのはウクライナの迎撃ミサイルだとするロシアによるプロパガンダが盛んに行われています。

 かなり鮮明なミサイルの映像も出ているものの、こうしたプロパガンダが行われ、それを信じる人が一定数存在しています。その理由は、高価なミサイルを使用し、小児病院を破壊したところで、戦闘を有利にする効果は低いと考えられるからかもしれません。

 ですが、複数の情報をつなぎ合わせてみると、ロシアが病院を狙って攻撃したことは明らかです。

 本稿では、ロシアの狙いを含め、この病院を含めたミサイル攻撃の真相に迫ります。