グレーマーケットがやがて「正規品」市場に

 2000年代以降、東京オートサロン会場では派手なチューニングカーの姿は徐々に減少すると同時に、自動車メーカー各社の展示ブースが大規模化していく。

 むろん、自動車メーカー各社は、量産品としては保安基準を満たす条件での商品改良にとどめた。

 こうした時期に、それまで新車のサプライヤーチェーンとは無縁だった、アフターマーケット市場の中小企業各社が自動車メーカーや、正規新車販売店向けに、主に外装品であるエアロパーツやホイールなどで取引契約を結ぶようになっていく。

 TCDについては、トヨタ系販売網のひとつ、トヨペットの流れを汲み、商品ブランドとしてはTRD(トヨタ・レーシング・ディベロップメント)、モデリスタなどを経て、2018年4月に組織再編されてTCDが新設された。

 このように、アフターマーケット市場は、90年代までは違法と合法の狭間であるグレーマーケットというイメージがあったものが、その後に自動車メーカーが手掛け、正規新車販売店で発売されるカタログモデルとなっていったという経緯がある。

 その過程で、自動車メーカー側、TCDのような自動車部品事業者側、そして取引先それぞれの間で、下請法に関する法令遵守についての認識が甘いまま時が過ぎてしまったのではないだろうか。つまり、単純な「下請けいじめ」や「虚偽記載」とは背景が異なる可能性がある。

 むろん、すべてのケースに当てはまるとは思えないが、大筋としてはアフターマーケット市場特有の事情が、TCD事案の根っこにあるように思えてならない。

桃田 健史(ももた・けんじ)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなどのレースにレーサーとしても参戦。ビジネス誌や自動車雑誌での執筆のほか、テレビでレース中継番組の解説なども務める。著書に『エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?』『グーグル、アップルが自動車産業を乗っとる日』など。
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