ライバーに抱く一般的なイメージ。ライバーに抱く一般的なイメージ。65歳のライバーは珍しい(提供:hiroyuki_nakai/イメージマート)

 最近、おじさんが意外な場所で働く姿を見かける。給料が上がらない、本当に年金もらえるの? AIに仕事を奪われる…! 将来の不安から副業を始める中高年男性が増えているのだ。

 おじさんたちはどんな副業をしているのか、どれくらい稼いでいるのか、あるいはまったく稼げていないのか。組織をはみ出し、副業を始める全力おじさんの姿をより深くリポートする。(若月澪子:フリーライター)

ライブ配信、そこは場末のスナック

 氷河期世代である1974年生まれの人が65歳時点で受け取る年金額の状況を推計した結果、およそ4割の人が月10万円を割ることがわかった。この世代は非正規雇用が多いためだとみられており、対策は急務である。

「氷河期世代」念頭に低年金対策 厚生年金活用、負担増で難航も(時事通信)

 65歳を過ぎると仕事の選択肢は大きく狭まる。それでも、年金だけで生活が成り立たなければ、働き続けなけれないけない。では今、雇用延長もなく、年金だけで生活ができない人はどんな仕事をしているのか。

 少数派だが、自宅でできるネット副業にチャレンジする中高年がいる。しかしそれらは収入としては心もとないものが多い。

「私が配信しているのはお昼の12時ごろの1時間~1時間半くらい、お昼休みのOLさんとかを狙ってね」

 こう語るのは東海地方在住のライバーのFさん(65)。「ライバー」とは、ネットでライブ配信を行う人のことだ。Fさんはキャップ帽と眼鏡、チノパンにポロシャツ姿の、ごく普通のおじさんである。

 ライバーをやっているのは20~30代の若者や、30~40代の主婦が多いと言われる。ユーチューバーとも似ているが、ちょっと違う。ユーチューバーは撮影した動画を流すため、収録と編集の手間がかかる。

 その点、ライバーは生配信だ。ライブ配信ができるアプリにアカウント登録を行い、スマホのカメラから生中継を流すだけ。編集は必要ないので手軽に参入できる。配信内容は「誹謗中傷をしない」など運営側の規約に反しない限り自由だ。

 Fさんは、どんなライブ配信をしているのか。