カイロ大学関係者の懐柔に腐心

 小池氏は国会議員時代、しょっちゅうカイロ大学を訪問し、日本語スピーチコンテストの審査委員を務めるなどして、同大学関係者の懐柔に腐心してきた。コロナ禍前の2019年3月に行われたスピーチコンテストでは、前回の都知事選前後に小池氏を熱心に擁護したアーデル・アミン・サーレハ日本語学科長、イサム・ハムザ氏、ハムザ氏と日本語学科で同期のエジプト人教授らが審査委員を務めていた。

 ちなみにハムザ氏と同期のエジプト人教授は、久留米大学教授として5年間の任期が終わったとき、何とか日本に残りたいと小池氏に半ば泣きつくように相談したところ、小池氏は「わたしに任せて」とばかりに、すぐに東京国際大学に連絡を入れ、教授のポジションを確保したので、非常に恩義に感じているという。

 ハムザ氏は、同期のエジプト人教授とともに小池氏が親密な東京国際大学にいるわけで、すでにカイロ大学を定年退職している身で、日本がらみで飯を食べて行こうと思えば、日本の有力政治家である小池氏の歓心を是非買いたいところだろう。要は、同じ穴のムジナだ。

カイロ大学入学に便宜を図ったムハンマド・アブドゥル・カーデル・ハーテム元副首相と手をつなぐ小池氏(2011年11月23日カイロで撮影)
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政治権力を利用して「手駒」を確保

 政治家としての力を利用し、エジプト人学者には職や日本の外務省からの表彰、ジャーナリストには有力政治家のインタビューの斡旋、「小池閣下の当選を祈願して○○断ちをした」とツイートする新谷恵司氏のような通訳業者には通訳や翻訳の仕事の機会などを与え、いざというときに助けてもらうのが小池氏のやり口である。

 4年前、郷原信郎弁護士と筆者がFCCJ(日本外国特派員協会)で行った記者会見の際、質疑応答セッションが始まると真っ先に手を挙げ、同日にカイロ大学が出した声明文を、普通では考えられない早いタイミングで事前にプリントアウトし、持参して読み上げ、「この声明文についてどう思うか?」と訊き、訊かれてもいない小池氏のアラビア語を褒めたたえたカルドン・アズハリというシリア人記者もこの種の人物だ(詳しくは拙稿【「カイロ大学声明文」以外にもあった、もう一つの<隠蔽工作>】参照)。