数カ月後、業者との連絡が途絶え・・・

 実際に投資してみると、翌月には説明を受けた通りの金額が振り込まれました。「これはすごく良い投資先を紹介してもらった」と、D男さんは、かなり気を良くしたそうです。その後も順調に配当金が振り込まれてきたので、D男さんは、残りの1000万円も追加で投資しました。

 ところが、しばらく経って、配当が振り込まれなくなりました。業者に問い合わせをしたところ、連絡が取れず・・・。誘ってくれた友人にも連絡をしましたが、友人も業者と連絡が取れずに困っていました。

「これって投資詐欺ですかね?」と、D男さんは半信半疑で私に聞いてきましたが、「これは投資詐欺の可能性が高いです」とお答えしました。

代表的な投資詐欺、ポンジ・スキームとは

 D男さんが引っかかってしまったであろう詐欺は「ポンジ・スキーム」と言われるものです。

 ポンジスキームは古くからある投資の詐欺です。ポンジスキームの名前の由来は、1920年代に詐欺を行ったチャールズ・ポンジからきています。具体的には、以下のような仕組みで行われます。

  1. 魅力的な条件で出資者からお金を集める
  2. 運用しているように見せかける(実際には何もしない)
  3. 集めたお金から毎月の利益を配る
  4. この間にも出資者を募り続ける
  5. 資金がショートしそうになった時点で破綻or頃合いを見計らって持ち逃げする

 表向きは「出資者全員のお金を集めて運用し、その利益を出資金に応じて還元する」となっていて、投資信託と似ています。しかし実態は自転車操業。

 実は投資は行われておらず、後から参加した出資者のお金を配当に充てながら、お金を集め続けていきます。当初はきちんと配当が振り込まれているのも悪質。出資者が「これはいい投資だ」と信じてしまうのです。

 しかし、出資者が増えなくなり、配当が支払えなくなると、業者は残ったお金を持って逃げてしまいます。こうなると、配当はおろか元本まで失ってしまいます。