2.破壊されているロシア要域防空ミサイル

 ウクライナ軍は、ロシア航空宇宙軍の要域防空ミサイルシステムをミサイルで攻撃して破壊している。

 Oryx情報(2024年06月19日まで)によると、S-300防空ミサイルシステム(ミサイル射程:対航空機200キロ、対弾道ミサイル30キロ)の発射機×10基・防空レーダー×5基、同じく「S-350」(120キロ、30キロ)の発射機×1基、同じくS-400(250キロ、60キロ)の発射機×17機・防空レーダー×4基を破壊したとしている。

 ロシア軍のこれらのミサイルは、米欧のパトリオットミサイルの「PAC3」(弾道ミサイルを近距離で撃墜できる)と同等の能力を有する、あるいはそれ以上の兵器と言われてきた。

 ところが、そのS-400が主に、ウクライナ軍の短距離弾道ミサイルのATACMSや巡航ミサイルの「ストームシャドウ」などから攻撃を受け、破壊されているのだ。

 特に、米国製の短距離弾道ミサイルATACMS(射程300キロの長射程用)が今年(2024)3月12日に供与が承認された後、多く破壊されている。

 特徴的なのが、S-400システムのレーダーを含む多数基が破壊されたことである。

 具体的には、2024年4月17日に発射機4基、5月15日に射撃統制レーダー1基、同年5月22日に捜索レーダー1基と発射機4基、6月2日に射撃統制レーダー1基と発射機2基が破壊されている。

 これは、ロシア防空システムが広域に展開してミサイルを発射する態勢であったにもかかわらず、ATACMSに狙われ攻撃されて破壊されたということである。

図2 ロシア防空ミサイルシステムが破壊されたイメージ