セックスによる肉体的効能

 いつまでも若々しくいるために、私たちは積極的、かつ継続的にセックスを愉しみたいものである。

 性交を活発に勤しむ中高年男性は、自然と女性を惹きつける色気を纏っており、行動も社交的で活動的だ。

 一方、勃起力の低下や体力の衰えにより、セックスをしなくなった男性は、老化がさらに加速してしまう傾向がある。

 性行為の健康効果については、医学的な研究によっても明らかにされている。

 男性の場合は勃起が健康維持のポイントとなる。

 勃起は、海綿体動脈に多くの血液が流れ込むことで、陰茎だけでなく体内の血流が促進されやすくなる。

 全身の血行がよくなることで、疾患が起きにくくなり、体が老化しにくくなるようだ。

 英国心理学会の総会で、王立エディンバラ病院で高齢者心理科長を務めたデービッド・ウィークス博士は、高齢者が定期的にセックスをしていれば7歳くらい若々しく見えると主張する。

 セックスをしている人が、実年齢より若く見える理由として、天然の鎮痛効果を持つ快楽物質・エンドルフィンが分泌も挙げられている。

 これが分泌されることで不安感を和らげられ、心臓の健康維持につながる血液循環を促進させ、肌に自然な輝きをもたらす。

 さらにヒトの成長ホルモンで肌の弾力性を高めシワを防ぐソマトトロピンの分泌が促されることで、肌の弾力がアップするという。

 デービッド・ウィークス博士は、次のように高齢者のセックスを推奨している。

「性的欲望は若者たちだけに与えられた特権ではないし、そうあるべきではない」

「性的な充足感は、生活の質の向上に大きく貢献する。少なくとも、霊的信仰や宗教心といった気力を満たす要因と同じほど、高い影響力を生活にもたらす」

「一般的に高齢者は、セックスをしなくなるとされているが、それは間違いである」

「高齢者のセックスに対する前向きな態度は、積極的に支援されるべきだ」

「週に2回以上オーガズムを得ていた男性は、それ以下の男性に比べて死亡リスクが50%低かった」

 また、米ハーバード公衆衛生大学院やオーストラリアのがん協会の研究チームの調査によれば、前立腺がんは射精回数の多い男性ほどかかりにくいとの研究結果がある。

 前立腺は精液の元となる前立腺液を生成する器官だが、射精回数が多い男性は前立腺がんになりにくく、1か月に21回射精している人は、それ以下の人と比較すると、前立腺がんにかかるリスクは約20%低下しているという。

 また、米国の医療関係者向けサイト「Web MD」にも、セックスががんや心臓病リスクの低減につながるという研究結果を掲載している。

 調査は米国で、平均年齢は50代のこれまで心臓系の病気にかかったことのない男性を対象に、16年にわたるセックス頻度の追跡調査を行った。

 結果、週に2、3回以上セックスをする男性に比べ、月に1回またはそれ以下の男性は、心臓血管疾患と診断される確率が45%も高くなることが判明。

 その理由としてセックスの際に生じる勃起や射精が血管によい効能をもたらすことで、動脈硬化が原因となる心臓疾患の予防につながる可能性があるとしている。