台湾の国会改革法案に反対するデモ=5月21日(写真:Wiktor Dabkowski/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ )
  • 5月20日に始動したばかりの台湾・頼清徳政権が、いきなり試練に見舞われている。
  • 親中派の野党・国民党が提出した「国会改革法案」が28日に一部可決され、立法院の権力乱用や中国共産党による操られる「全人代化」が懸念されている。
  • 23、24日には台湾周辺で中国が軍事演習を実施、頼政権に露骨な圧力をかけている。台湾の民主主義は守られるのか。(JBpres)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 台湾の立法院(国会)で物議をかもした、いわゆる国会改革法案が5月28日、三読(三度目の審議)を経て一部可決した。国会改革法案とは、野党側が提出した立法院職権行使法、刑法、立法院組織法、立法委員行為法、立法委員互選院長副院長弁法の5つの法律の修正法案を指す。

 このうち立法院職権行使法と刑法に対する修正法案が可決され、注目の国会藐視罪(国会軽視罪)も成立してしまった。これにより、立法院の権力乱用や中国共産党に操られる「全人代化(中国の国会に相当、全国人民代表大会)」を懸念する声もある。

 与党は行政院に復議(再審議)請求し立法院に差し戻し要請、卓栄泰行政院長(首相)もこれを検討すると発表。最終的には、その違憲性も問うつもりのようだが、道のりは簡単ではない。5月20日に始動した頼清徳政権は、早々に立法院ねじれ国会の厳しい試練に直面している。