与党が法改正に抵抗したポイント

 与党民進党議員たちがこの法改正に抵抗した点は、以下のポイントだ。

・憲法は立法委員に対して総統への質問権を認めていない。総統に即時回答を迫るのは違憲であり現行法を維持するべきだ。

・国会軽視罪の定義があいまい。国会の権力乱用につながり、権力分立原則のバランスが崩れる。むしろ立法委員行為法を制定して立法委員が騒乱を起こすなど、国会軽視行動を行わないように規制するべきだ。

・調査権行使の場合、各国家機関の独立した職権を犯さないようにして、立法院の過剰な権力拡張を避けるべきだ。調査権と、調査閲覧権の2つに分けるべきだ。訴訟判決が出る前の事件についての資料に対しては調査権、調査閲覧権が行使できないようにすべきだ。この法案修正は民間人、企業のプライバシーや商業機密を侵害する可能性がある。

・人事同意権についてはこれまで通り無記名投票方式を維持すべきだ。

 与党側がこの法案に対して強い疑念を抱いている背景には、立法院の第1党である国民党に対して、中国共産党習近平政権が急速に接近しているところにある。

 今年4月上旬、元国民党総統の馬英九が訪中し北京で習近平と会談したほか、17人からなる異例に大規模な国民党立法委員訪中団(団長・傅崐萁・元花蓮県長)が4月26~28日に訪中、北京の人民大会堂で王滬寧・全国政治協商会議主席(政治局常務委員)と面会した。

 このときの「お土産」として、福建省住民の台湾・馬祖への個人観光旅行再開、台湾産文旦などの輸入再開、台湾企業への福建省投資優遇、馬祖住民の福建省でのホテル優遇など台湾企業・台湾人優遇措置13項目、天津など30都市との航空便再開呼びかけ、福建省平潭から台北など5都市へのフェリー就航呼びかけ、花蓮震災への仮設住宅寄付などを発表した。